あさぎり町中部ふるさと会

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2017年4月27日

第40回 ふるさと探訪  豊かな隠れ里 人吉球磨の自然(3)

 あさぎり町深田西の山林に日本シダ植物の中で最も注目されているシダが生息している。図1に示すサツマシダである。あさぎり町HPには以下のような説明がある。「サツマシダは、あさぎり町深田西新の山林に生息し、日本シダ植物の中で最も注目されている。
環境庁は、植物版レッドリストに絶滅危惧種Bランクとして記載。薩摩大口市、紫尾山(しびさん)系の一部と水俣市に植生が知られていたが、当管内で発見されたことによりサツマシダ分布の北限地として重要である」。
 サツマシダは、漢字では「薩摩羊歯」で、オシダ科カツモウイノデ属の常緑多年草である。九州は、熊本県、宮崎県、鹿児島県伊佐市西部に分布し、やや乾燥した林の中に生えるシダ植物である。九州森林管理局は、伊佐市の西部に位置する標高300〜350mの北東向き傾斜地の低山地帯(国有林)を「冷水(ひやみず)植物群落保護林」として「サツマシダ」などを保護している。海外では中国にも分布する。森林伐採などで生育環境が悪化しているため、環境省のレッドリスト(2007)では、「IA類ほどではないが、近い将来における絶滅の危険性が高い種」である絶滅危惧IB類(EN)に登録されている。葉の柄は長さが60センチくらいある。
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図1 サツマシダとその拡大図(右)あさぎり町登録文化財 右図:あさぎり町HP
 
日本でもっとも豊かな隠れ里の人吉球磨盆地には、まだ人に知られていない、名前が付けられていないシダが沢山ある。それの名付け親、つまり新種シダの発見者が人吉在住で、筆者の中学時代の恩師でもある乙益正隆先生である。先生は、オトマスイヌワラビ、オトマスイノモトソウ、アソシケシダ、クマイワヘゴ、ナンピイノデ、ヒトヨシイノデほか十数種のシダ植物の新種や新雑種を発見されておられるが、そのうちの2例を、東京大学総合研究博物館所蔵の標本画像を借りて図2に示す。シダの学名に「オトマス」とか「ヒトヨシ」「クマ」があるが、これは植物の命名規約に基づくもので、発見者、つまり命名者の名前とか地名である。植物の学名は、国際植物命名規約にもとづき、「属名」、「種小名」をラテン語形で列記し、最後に「命名者」を付記することになっている。ラテン語表記をすることによって全世界で植物の名前を共有することができるわけである。
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1)クマイハヘゴ   2)オトマスイヌワラビ  3)ナンピイノデ
図2 乙益正隆先生の発見・命名されたシダ植物の例
出典:1)2)は東京大学総合研究博物館所蔵 3)大分県のHP

 図2において、「クマイハヘゴ 」は山江村に自生している。「オトマスイヌワラビ」は人吉から久七峠を越えた薩摩出水市上場地区で採取されたものである。「ナンピイノデ」は、これまで熊本県の人吉地方やなど宮崎県の一部と九州南部に分布するとされていたが,2005年に大分県の津江山地(福岡県南部との県境)でも生育が確認されそうである。スギ植林内に群生していて生育面積は狭く,スギの伐採による生育地の消滅が危惧されるとの記事があった。
 もう一つ、球磨川流域、特に河口付近の扇状地や人吉市下林の頭無川(ずなしがわ)などには、熊本県絶滅危惧U種(VU)のミクリ群落が分布している。「ミクリ」は栗のイガに似ているので「実栗」とも書き、図3のような多年生の水草である。沼沢地や流れの緩やかな水路などに生育し、北海道から九州にまでアジアにも広く分布する。高さは1.5mを越える。(つづく:次回は魚の話)

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図3 熊本県絶滅危惧U種(VU)のミクリと、その栗のイガに似た実拡大(右)
出典:ウィキペディア

文責:杉下潤二 Tel: 090-3856-0715 junji@siren.ocn.ne.jp

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