あさぎり町中部ふるさと会

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熊本県球磨郡あさぎり町出身者、及び あさぎり町と
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2018年7月11日

続 ふるさと探訪17 昔懐かしふるさとの味:球磨味

1.まぜご飯:「酢サバ入り混ぜご飯」
 このまぜご飯は、筆者の郷里、旧熊本県球磨郡岡原村にいたころ、母が良く作って食べさせてくれた昔懐かしい食べ物である。今でも、このまぜご飯を作っているかと聞いてみたら、聞いたことも、食べたことないとのことで、今日では絶えてしまった食べ物の一つかも知れない。筆者は、結婚して約52年になるが、この間、年に数回は、このまぜご飯を食べている。母が元気なころ、妻に作り方を伝授していたからである。実家では絶えてしまった食べ物が、異郷の地で今も引き継がれている好例なので、どんなものなのかを図1を利用して紹介する。

・酢サバ入り混ぜご飯」の作り方
 よくあるレシピ「塩サバまぜご飯」と間違われないように、もう一度、その名前を書くと「酢サバ」入り混ぜご飯」である。このまぜご飯は、一口で言えば、酢サバを1センチ位のサイコロ状に切り、蒲鉾や椎茸などの具材と一緒に酢ご飯に混ぜたものである。
具材:
・酢鯖(すさば):主役の酢鯖は市販品で、半身を1センチ角位のサイコロ状に切っておく。半身の酢サバで3人分ができる。
・椎茸は干し椎茸を使い、水に浸してもどして置き、戻ったら水分を絞り、1センチ大に切っておく。浸し汁は具を煮込むときに使うので捨てない。
・鶏肉は脂身の部分は除き、やはり1センチ大に切っておく。
・蒲鉾は板から剥ぎ取り1センチ角位に切っておく。
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市販の酢鯖         蒲鉾・椎茸・鶏肉・酢鯖  まぜご飯
図1 酢鯖入りまぜご飯
・ゴボウやニンジンは「ささがき」し、ゴボウはあく抜きをしておく。「ささがき」とは、軸方向に切れ目をつけ、鉛筆削りのように回しながら削る方法。
2)具材の味付けと煮込み:椎茸の浸し汁をベースに、椎茸、鶏肉、蒲鉾を入れ、好みの味付けで煮込む。辛味や甘味は好み!・具材の煮込み味付けが終わったら、鍋からすくい取り煮汁を切っておく。
3)熱いご飯を寿司桶(ボールなど)に取り、具材と酢サバを入れ混ぜ合わせ、味見をしながら好みの酢加減になるよう食酢(かんたん酢など)を入れて混ぜ合わせれば、「酢サバ入りまぜご飯」の完成である。好みによるが、筆者は山椒の粉を振りかける。これがまた格別である。


2.「煮しめ」
 煮しめは、日本の代表的な家庭料理の一つであり、もともと、お正月やお祭りなど人がたくさん集まったときに作って出すおもてなし料理である。作り方には若干の違いはあるが、福岡県北部や西部の筑前地方で作られている「筑前煮」や各地に「うま煮」があり、似たような味である。
 お彼岸の相良三十三観音巡りで最高の楽しみは、集落の方々のお茶のおもてなしであるが、お茶請けには必ず漬物や味噌漬け、それに「煮しめ」が並べてある。「煮しめ」に対して、現在、岐阜県可児市在住の金子さんから次のような便りをいただいた。「・・こじゃれた筑前煮(鶏肉とニンジン・ゴボウ・レンコン・シイタケなどを油で炒め、砂糖・醤油で味を付け煮詰めたもので筑前地方の郷土料理)とは違い、カシワを中心に、レンコン、大根、ニンジン、こんにゃく、戻
した干し椎茸などを炊き合わせた、ごく簡単で、出汁のきいた「おふくろの味」とも言うべき本当においしい煮物です。私はまだその域に達せずにいます。残念!・・」金子さんも指摘されているように、人吉・球磨を含む南九州地方の煮しめは、前もって油炒めをしないのが特徴である。
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 図2は人吉・球磨地方の「煮しめ」である。左側にコンニャク、サトイモ、昆布。真ん中にタケノコ、ゼンマイ、ワラビ、厚揚げ。右側にニンジン、椎茸、豆腐、時には蒲鉾や竹輪も煮しめられている。もちろん葬式の炊き出しでは精進煮しめである。


3.「芋がら」の煮付けや酢の物
「芋がら」の煮物、和え物、酢の物が懐かしか!というのは水上村の新藤さんである。「芋がら」とは、サトイモなど皮を剥いて乾燥させたものであるが、乾燥する前の生の状態でも「芋がら」と呼ばれる地域がある。一般には芋茎(ずいき)であり、赤い茎の「赤ずいき」、青い茎の「青ずいき」などがある。生でも皮をむき、灰汁を抜けば汁物の具として使えるが、通常は、乾燥させた「芋がら」を戻して、家庭の惣菜に利用されることが多い。「芋がら」は貯蔵に耐え、保存食になる逸話が熊本にはある。それは、加藤清正が初期の熊本城の築城に際して、篭城(ろうじょう)もありうることを予見し、本来は藁(わら)を使う畳床や土壁に「芋がら」用いたという話である。籠城が長引き、食料が枯渇したとき、畳床や壁土に混ぜ込めた芋がらを取り出し食べて凌ぐというわけである。ちなみに、細川藩が徳川将軍家へ献上し、大奥で使われたとされる熊本土産?の「肥後ずいき」は、ハスイモの食用芋茎を干したものである。
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図3 サトイモと芋がら(ずいき)と「芋がら煮付け」
図3の右端は、NHKきょうの料理で紹介の「芋がら 煮付け」である。芋がらを戻して水を切り、フライパンに油をひいて炒め、醤油、砂糖、みりんを加えて
味つけしたものである。この他、芋がら入りの味噌汁、かす汁、納豆汁、それに芋がら の甘酢漬けや甘酢かけ酢の物、芋がら の食べ方は多彩である。

(つづく:次回は、ダゴ汁、だしご、田楽)

杉下潤二  junji@siren.ocn.ne.jp

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