2016年8月 5日
八代海は不思議な灯りがともる海だから不知火海とも呼ばれている、今回の話は、この謎の不知火現象のことではない。不知火の灯りの現象は分かっているが、今なお分かっていない不思議なものがこの海にはある。八代海(不知火海)の海底の話である。八代海底には日奈久断層の末端断層があることも知られている。今回は、まだ確認されていない謎の海底の話である。
2009年6月2日、第10管区海上保安本部の測量船「いそしお」が八代海(不知火海)の海底で図1に示すような海丘群を発見した。詳細は、海上保安本部の技報、「八代海南部の海底で発見された海丘群の潜水調査報告」にある。場所は、次頁の図2に示すように、出水市の北西約10kmがその海域中心である。測量船「いそしお」が行った海底地形調査では、水深約30メートルの海底に約80個の海丘群が密集していた。海丘群は、平坦な海底面に突如として存在しており、他の海域ではみられない珍しい地形をなしている。巡視船「さつま」の潜水班により潜水調査では、海丘の表面全体が貝類等の生物で覆われている一方、海丘周辺の平坦な海底には貝類がほとんど生息せず、また海丘の内部にも生物はみられず、海丘自体は砂や泥によって構成されていることもわかっている。その後の鑑定で、表面を覆っていた貝類の一部は、カキの仲間であることが判明したが、この海底地形がどのように形成されたかは、現在もわかっていない。
図1 水俣市沖の八代海で発見された海丘群のイメージ図
(出典:海洋情報部研究報告 第46号 平成22年, March, 2010 技報)
図2 海丘が発見された海域
海丘の成因説として、土砂投棄説、火山説、泥火山説、噴砂丘説、潮流等原因説、カキツバタ原因説、円錐カルスト説などが考えられたが、どれも仮説の域を脱してなく本当の成因はまだ分かっていない。筆者は、カキツバタが海丘にだけ貼りつき、海底」の土砂面には皆無であるということから、カキツバタが好むもの、または居心地を良くすするような海丘であることにヒントが隠されているようなきがする。
この不思議の海を北上すると八代の港である。ここは3〜4世紀頃、中国の呉の国からは九千匹の河童が、7世紀には妙見さんが中国、今の寧波から「亀蛇」に乗って海を渡り八代に上陸した港がある。八代は、人吉球磨地方の住人、球磨人の先祖にあたる人の港であるかも知れない。次回から、八代に伝わる奇妙なお祭や河童の話をする。
<つづく>
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