あさぎり町中部ふるさと会

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熊本県球磨郡あさぎり町出身者、及び あさぎり町と
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ふるさと探訪

2017年2月24日

第31回 ふるさと探訪 球磨神楽(1)

 その地方に伝わる習俗や芸能などの伝統行事を探っていくと、「球磨人:クマんモン」のルーツが分かるかも知れないということで、前回は球磨の伝統芸能である「臼太鼓踊り」をみてきた。その結果、この地方の臼太鼓は、熊本や八代など北方からではなく南の方からの伝承であることが分かった。人吉球磨地方にはまだ幾つかの伝承芸能がある。「球磨神楽」もその一つである。
「神楽:かぐら」とは、文字通り、神が楽しむ、神を楽しませる芸能である。その起源は、古事記や日本書紀の天岩戸の段に出ているアメノウズメ(天鈿女命)の天岩戸の前での舞いにあるとされている。記紀には「天宇受賣命、、、、爲神懸而、掛出胸乳、裳緒忍垂於番登也」とある。漢文だから、この踊りの様子が分からないので、あえて注釈すれば、「天宇受売命(あめのうずめのみこと)、神懸(かむがか)り為て、胸乳(むなち)を掛き出で裳緒(もひも)を番登(ほと)に忍(お)し垂(た)れき」。もう少しくだけると、「天宇受賣命は神がかりりして胸をさらけ出し、着物の紐を陰部までおし下げて踊った」。要するに、女神の天宇受売命は岩戸に隠れたアマテラスに出てきてもらうためにあらわな姿で踊った、ということでる。アマテラスは踊りを楽しんだというより、なんの騒ぎか、何の笑いか、何事かと岩戸から顔を出したところを力持ちの天手力男神(あめのたちからお)に引きずり出された。この「岩戸隠れ」など神話を基にして演じるものが岩戸神楽(いわとかぐら)である。
宮崎県の岩戸神社には、図1に示すような、天宇受売命と天手力男神の神楽の一場面が立像にし てある。ただしさすがに、この像の天宇受売命はあらわな姿にはなっていない。娯楽性や演劇性に富み、観てて飽きない神楽が図2の岩戸神楽や図3の「石見神楽」である。岩戸神楽同様、石見神楽も記紀を原拠とする神話が中心で、人気演目は須佐之男命(すさのおのみこと)が大蛇に酒を飲ませ、酔わせて退治する「大蛇:おろち」であろう。酒を飲ませ酔わせて殺すという筋書きはヤマトタケルのクマソタケル(熊襲建、川上梟帥 )征伐と同じである。それはさておき、大蛇がどくろを巻き、口から火を吹く様はリアルである。

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図1 左:天鈿女命像 岩戸神楽29番 鈿女の像
                  右:手力男命戸取像 岩戸神楽30番 戸取の像 
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図2 岩戸神楽「天鈿女命」          図3 石見神楽「大蛇:おち」
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図4 椎葉村神楽:大河内神楽「鬼神」  図5 高千穂神楽「手力雄」

酔わせて殺すという筋書きはヤマトタケルのクマソタケル(熊襲建、川上梟帥 )征伐と同じである。それはさておき、大蛇がどくろを巻き、口から火を吹く様はリアルである。
 図4は球磨郡水上村に近い椎葉村大河内地区の「鬼神(きじん)」という神楽であり、図5は高千穂神楽で、おなじみの「手力雄」(たぢからお)の舞である。これら古代神話を題材ににた演目の神楽は、いずれも観てて楽しい神楽であり退屈しない。もともと神楽は、天宇受売命(あめのうずめのみこと)のあらわな踊りが起源とすれば、退廃的娯楽性も成り行きかも知れない。しかし、「目に見える華やかさばかりを追求するあまり、旧来の伝統ある神事的、儀式的な演目が軽視され、廃れていく傾向にある」とは、石見神楽愛好家の苦言である。神楽本来の神事的、儀式的要素を含む神楽が人吉・球磨地方の「球磨神楽」であるという。次回は、球磨神楽のどこがそうなのか、次週はその特徴を探ってみる。
(つづく:次週は、これらの神楽と地元・球磨神楽の違い)

文責:杉下潤二 Tel: 090-3856-0715 Email: Junji@siren.ocn.ne.jp

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