あさぎり町中部ふるさと会

あさぎり町中部ふるさと会とは
熊本県球磨郡あさぎり町出身者、及び あさぎり町と
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ふるさと探訪

2017年6月30日

第49回 ふるさと探訪 球磨拳(1)

 球磨拳は「ひい」「ふう」「さん」の合図ではじまる。筆者の祖父も囲炉裏(いろり)端で焼酎を飲みながら拳をしていたが、あぐらをかき、右手をじゃんけんの「ぐう」のように軽く握り、上下にゆらしながら「ひい」「ふう」「さん」と、声を掛け合いながらやっていた。現代の日常的な数の数え方(中国語式)は、いち(1)、に(2)、さん(3)、し(4)、ご(5)、ろく(6)、しち(7)、はち(8)、く(9)、じゅう(10)である。「し4」と「しち7」の紛らしさを避けるときは、4は「よん」とか7は「なな」と呼ぶこともある。日本古来の数え方は(日本語式)、ひぃ(1)・ふぅ(2)・みぃ(3)・よぉ(4)・いつ(5)・むぅ(6)・なな(7)・やぁ(8)・ここ(9)・とぅお(10)である。一字ならば、「ひ・ふ・み・よ・い・む・な・や・こ・と」である。
 さて、球磨拳は「ひい」「ふう」「さん」の・・で始まると書いたが、「ひい」「ふう」「みい」ではなく、なぜ「さん」なのだろうか。球磨拳のことを書こうと思って、最初に引っかかったのがこのことである。「さん」は3であることには間違いはないが、「ひい」「ふう」で始まっているのだから「みい」と、なぜ言わ
ないのだろうか。中国や韓国では数字の3のことを「サン」と発音する。球磨拳の起源が中国やアジア大陸にあるとすれば「ひイ・ふウ・サン」の「サン」は、この「サン」ではないのだろうか。

図1球磨拳の0から5までの指形  図2 球磨拳 (平成29年度球磨川会にて)
 ジャンケンでは、グウ(石)はチョキ(はさみ)には勝つがパー(紙)には負ける。チョキはパーに勝つがグウには負ける。パーはグウに勝つがチョキには負ける。このように、ジャンケンはグウ、チョキ、パーの「三すくみ」で勝負する。この「三すくみ」とは、ウィキペディアには次のように説明されている。「三すくみ(三竦)とは、3つの物が、互いに得意な相手と苦手な相手を1つずつ持ち、それで三者とも身動きが取れなくなるような状態のこと。つまり、AはBに勝ち、BはCに勝ち、CはAに勝つという関係である。」
 二人が一回のジャンケンをする場合、勝敗の確立は1/3=33.333%である。ただし、この場合は条件があって、たとえば、「グウ」を頻繁に出すような癖があるとか、「グウ」の次は必ず「チョキ」を出す癖がある、とかではなくて、二人とも、グウ、チョキ、パーを均等に出すような勝負をした場合である。だから、相手の癖を早く見抜くことが勝率を高めるコツである。ところが、2009年6月20日の日経新聞に、桜美林大学の芳沢光男教授による「じゃんけんに関する研究」が掲載された。教授が725人を集めて、のべ11567回のジャンケンをさせたところ、「グウ」、「チョキ」、「パー」の出る割合は、それぞれ、1/3(33.333%)ではなく、「ぐう」の出す学生が35.0%で最多、次は「パー」で33.3%、最少は「ちょき」で31.7%だったそうである。チョキが出にくい、出しにくい人間の癖であるならば、「パー」を出せば負ける確率は減り、「グウ」に勝つ確率は高まる。球磨拳でも調査したら、たぶん、「0:ぐう」や「5:パー」は出やすいという結果になると思うのだが・・。のん兵衛さんは、焼酎を飲みたいばかりに、わざと負けるそうであるが、自分の癖を相手に早く見破ってもらう能力の持ち主なのだろう。ちなみに、ジャンケンで「あいこ」になる確率もやはり理論的に1/3(33.333%)であるが、芳沢光男教授の実験によると、実際は22.8%だったそうである。
 勝率を上げるためには、球磨拳でも相手の癖をいち早く見抜くという点は同じであるが、球磨拳はジャンケンと異なり、図1のような6つの数字を使っての「六すくみ」であるから勝敗の確率は下がる、つまり難しくなる。AB二人で行う球磨拳の場合、二人の指の出し方は、それぞれ0,1,2.3.4.5の6通り、Aが勝つ場合は、1−0.2−1,3−2,4−3,5−4,0−5のように、0−5を除けば、数字が一つだけ多いほうが勝ちであり、6通りになる。したがって、球磨拳で一回だけAが勝つ確率は6/6×6=6/36=1/6となり、ジャンケンよりも確率は低く、勝負に時間がかかることになる。もし仮に、球磨拳の代わりにジャンケンであれば、勝負が早く決まり、負けた方の酔いつぶれも早くなり、酒席の遊戯にはならなかったかもしれない。
球磨拳では、数字の多い方が勝つ方式の「数拳」である。指1本は0本(ジャンケンのグウ)に勝ち、2本は1本に勝ち、3本は2本に勝ち、4本は3本に、5本(ジャンケンのパー)は4本に勝つ。ただし、0本は5本に勝つという具合の「六すくみ」である。ただ、ややこしいことに、差が2以上の場合は勝負なしであり、連勝しなければ勝ちにならないことも球磨拳の特徴である。一つ目の勝ちの時に「イッチョ」と叫び、二つ目の勝ちの時に「ニイー」と叫ぶ。連続して勝つ場合は、腰を持ち上げて身を前に乗り出し、相手を抑え込むような勢いで「イッチョ!ニイ!」と叫ぶ。しかし、この場合でも、なぜ「ひい!・ふう!」とか言わないのだろう。どうも球磨拳に出てくる数の数え方は「ひい・ふう」、「ひとつ・ふたつ」、「いち・にい」の三通りあるようである。このことは、「ひい」「ふう」「さん」の「さん」と同じく、球磨拳の起源や伝搬に関係があるのではないだろうか。ジャンケンは、数拳である球磨拳の1,2,3、4は省き、分かりやすい0と5と中間の2を残し、指形に「石グウ」「鋏チョキ」「紙パー」などの意味をもたせて三竦み(さんすくみ)に簡略化されたものといわれている。果たしてそうなのだろうか、次回はそのあたりを探る。
 (続く:次回は球磨拳そのA・・土俵での拳相撲もあった話など)

  文責:杉下潤二 Tel: 090-3856-0715 Email: junji@siren.ocn.ne.jp

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